日本では将来、東海、南海の大地震はいつ発生しても不思議ではないと言われており、今後30年での発生率は70%以上とも予測されています。
そのような大きな地震に耐震工事をはじめとした備えをしなければと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
耐震工事は今後生活していくうえで必要な工事といえますが、費用も高額であり、いつ起こるかわからないことにお金をかけなければいけないということで、つい後回しにしたくもなってしまいます。
しかしまさかの災害時には、家を守ってくれて、被害を最小限に抑えてくれる可能性も高まるため、必要な出費といえるでしょう。ただ、必要だとはわかっていてもできるだけ出費は抑えていきたいですよね。
今回は、耐震工事に掛かる費用と相場はどのくらいか、費用を抑えるためにできることなどを紹介していきたいと思います。ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
耐震工事にかかる費用の相場とは
耐震工事を検討し始めたとき一番気になることは、工事にかかる費用の相場ではないでしょうか。
補強が必要になってくる個所や選んだ業者などによってそれぞれ費用の価格は変わってきますから一概には言えない部分もありますが、ここでは耐震工事の平均的な金額相場と、一般的にはどんな工事をすることが多いのかについて触れていきたいと思います。
耐震工事に掛かる費用の相場
工事費用については、その多くは費用を抑えつつ主要な部分の工事を行うというパターンで、金額の目安としては、約100万円前後くらいが主流となるようです。
下記では、100万円以下でできる耐震工事の内容についてまとめていきたいと思います。
100万円以下でできる工事内容
耐震改修工事は、平均100~150万円ほどといわれており改修の内容は、壁、はり、柱を補強する工事であることが一般的です。
壁を補強する場合が多く、一軒の家で改修が必要な個所は、平均で10ヵ所程度、1ヵ所あたり10万円前後から15万円ほどといわれています。
そして家の内側の壁よりも、外壁のほうが費用が高くなる傾向があります。このほかに補強工事をするためにはがした壁や天井などの修復費もかかってきます。
また、屋根に乗っている重たい瓦が、家屋倒壊の一因になることも考えられます。この場合は屋根瓦をふき替えることで耐震性能が向上させることができます。
ふき替え費用の目安は、屋根の面積1平方メートルで約1.5~2万円ほどです。建築面積100平方メートルの住宅の屋根すべてが瓦ぶきの場合、150~200万円ほどになります。
すべてを補強しようとすると費用がかさんでしまうため、費用対効果の高い補強工事から進めていくことが重要です。
耐震費用が25万前後の場合
地震の横揺れに耐えられる対策を行う場合、その耐震工事費として25万円程度かかります。
相場としては材料費を含めて15万円前後程度になります。ただし、屋外から工事を行う場合は、外壁の仕上げの作業が追加されるため、プラスで5万円程度の費用が必要になる場合があります。
耐震工事費40万円前後の場合
木造住宅に耐震効果のある部品を10個取り付けて、住宅を支える土台などの主要な構造部の接合部分を強化したい場合、耐震工事費として40万円程度かかります。
相場としては、材料費と工事費用をあわせて、耐震効果がある部品1個の取り付けは3万円程度になることが多いようです。そのため、最終的にはあわせて耐震工事費が40万円前後になります。
耐震の為のシェルターってなに?
耐震効果を高めるためにはいくつかの方法がありますが、その中のひとつとして耐震シェルターの導入があります。
耐震シェルターは、家の中に外部からの刺激から守れる耐震性を持ったひとつの空間をつくることで家の中にいながらも大きな地震が来た時の備えができるというものです。
大がかりな工事は、予算上できないという場合でも、耐震リフォームより価格がリーズナブルな傾向にある耐震シェルターなら比較的導入しやすい備えの方法といえるのではないでしょうか。
またシェルターには、そのまま耐震ベッドとしても利用できますし、災害時のために買った飲料水などの備品を保管しておくこともできます。
耐震シェルター導入がおすすめのご家庭
日本に住み続ける以上、今後も起こると予測されている大きな地震を避けては通れません。しかし地震による家屋倒壊の被害はしっかりと建物の耐震対策などで防ぐことができます。
自分自身や家族のためにも家の耐震構造を確認して、地震のために備えることが大切です。大きな地震など何かあった時にすぐに家の中に設置してある耐震シェルターに入れば簡単に身を守ることができます。
すぐに身を守れるという意味では避難場所まですばやく移動できない人、高齢者や小さなお子様などがいらっしゃるご家庭には備えの方法としてはおすすめであるといえます。
また、部屋が一部屋まるごとシェルターになる部屋型タイプと、ベッド型のシェルターなどいくつか種類がありますので、ご家庭に合ったものを選べるのも魅力のひとつでしょう。
耐震シェルターにはメリットも多いですが、デメリットも存在します。納得できるようにメリット、デメリットを理解して検討することが大切です。
耐震工事の費用を抑える為には?
助成金の利用
日本に住み続けていくうえで耐震の問題は真剣に考えていかなくてはならないことですが、費用が高額なためすぐには決められない部分もあるのではないでしょうか。
耐震対策の費用を抑える方法としては、上記でも触れたような耐震シェルターの導入も方法のひとつといえますが、助成金、減税制度、補助金、融資制度などでも費用を抑えることができる場合もあります。
1981年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の住宅は、2019年6月30日までに耐震リフォームを行った場合、税額控除の対象になります。
国が定める耐震リフォーム費用の10%を所得税から控除するというもので、工事完了後の1年に限り有効です。
自治体ごとに助成金や補助金制度が設けられていますので、現在お住まいの自治体に問い合わせて要件を確認しましょう。
補助金の利用
耐震リフォームを実施すると補助金を給付してくれる自治体もあります。ただし自治体の多くは建築士による診断を求めるなどの条件があります。
自治体によっては制度自体導入していない可能性もありますので、お住まいの自治体に一度確認しましょう。条件や予算、申請期間、支払い方法、対象工事内容などは自治体によって全く異なります。
減税制度の利用
リフォーム減税とは、リフォームをすることで「所得税」の控除や「固定資産税」の減額、「贈与税」を受けられる制度です。
投資型減税の場合、一定の住宅について一定の耐震改修工事を行った場合、確定申告することで控除対象限度額を上限として工事費用の10%が所得税額から控除されます。
また、固定資産税の減税の場合は、一定の住宅について一定の耐震改修工事を行った場合、物件が所在する市区町村に証明書等の必要書類で申告することで、固定資産税額が1年間は2分の1に減額されます。
耐震工事を行う場合は、助成制度などを活用することができて、工事費用を抑えることもできます。今後予想される大地震の発生に備え、被害を最小限に抑え、人命を守ることを目的としており、国や地方公共団体から経費の一部を補助してもらうことができます。
そして多くの自治体では、特に旧耐震基準の木造住宅を対象に、耐震診断の費用を無料にするなどの対応をしているところもありますので、まずは、お住まいの自治体に一度相談してみましょう。
業者選びも重要
業者選びは工事の質にも影響してくる重要な問題です。世の中には優良な業者だけではなく悪徳業者と呼ばれるような人たちもいますので騙されないように注意しなくてはいけません。
補助金や助成金などを利用したい場合は、工事の前に事前に申請しなければいけないことも多いため、そのような制度に対する知識がしっかりある業者を選びましょう。
耐震リフォームでは通常とは違った技術が求められるため、工事に詳しい人やベテランが多いリフォーム会社だからといって、必ずしも安心できるというわけではありません。
耐震リフォームをするために業者を選ぶ場合は、その会社に耐震工事の実績があるかどうかを確認してから判断することが大切です。
悪徳業者はなにかとすぐに契約へと進めて、工事の受注に半ば強引にもっていこうとしますが、補助金などの申請の前に工事が始まってしまうと、補助金などが受け取れなくなってしまう可能性があるため十分注意しましょう。
悪徳業者は実際に工事を依頼するまでの流れで、どこか怪しい点やおかしい点が見受けられることが多々ありますので、工事を依頼する前に業者の対応も厳しくチェックしておきましょう。そして、もし少しでも不安や不満がある場合はすみやかに他の業者を探しましょう。
ご自宅に合う方法を選びましょう
今回は、耐震工事にかかる費用と相場はどのくらいか、費用を抑えるためにできることなどを紹介してきました。
耐震リフォームの一般的に相場価格はだいたい100万円から150万円ほどで、耐震工事が必要な家の構造上主要なところを中心に工事を施す方法や、なるべく費用を抑えつつ耐震性も向上させたい場合はシェルターの導入を検討するなどの方法があります。
また、費用を抑えるには助成金などの制度を積極的に利用していきましょう。ご希望の耐震リフォームが制度利用の条件に当てはまるかどうかなどの詳細をお住まいの地域の自治体に問い合わせてみましょう。
耐震性を少しでも上げることには意味があり、どこまでなら無理のない範囲でできるのか、ご家族と話し合いながら進めていきましょう。耐震工事にかかる費用についての記事をお探しの際は本記事を参考にしてみてください。