非常用発電機は、災害や停電といった非常時に電力を供給する重要な設備です。しかし、故障した状態では本来の役割を果たすことができず、いざという時に必要な設備や機器を稼働できなくなる危険性があります。そのため、非常時でも確実に稼働できる状態を維持することが重要です。
ただし、非常用発電機は平常時に頻繁に使用する設備ではないため、不具合や劣化に気付きにくいという特徴があります。実際、部品の劣化や冷却水・バッテリーの不具合、サビなどを放置した結果、非常時に正常に作動しないケースは少なくありません。だからこそ、日頃から適切な点検やメンテナンスを実施し、故障リスクを軽減しておく必要があるのです。
今回は、非常用発電機の修理が必要になる代表的なケースや故障原因、修理費用の目安に加え、故障を防ぐためのポイントや信頼できる業者選びのポイントについて解説します。非常用発電機を安全かつ安定して運用したい方は、ぜひ参考にしてください。
非常用発電機の修理費用
非常用発電機の修理費用は、故障している箇所や交換が必要な部品、作業内容によって大きく変わります。そのため、一律の費用相場を示すことは難しく、軽微な修理で済む場合もあれば、数十万円から100万円以上の費用がかかる場合もあります。
急な故障によって想定外の出費が発生すると、対応の判断が遅れる可能性があります。そのため、非常用発電機を安全に運用するには、あらかじめ主な修理内容と費用の目安を把握しておくことが重要です。
まずは、代表的な故障内容ごとの修理費用の目安を見ていきましょう。
故障内容 | 修理費用の相場 |
|---|---|
|
始動不良 |
8,000円~20,000円程度 |
|
リコイルスターター紐交換 |
5,000円~15,000円程度 |
|
バッテリー・充電器交換 |
容量により異なる(数万円~) |
|
自動電圧調整器の交換 |
30,000円~70,000円以上 |
|
制御盤交換・制御盤故障 |
300,000万円~ |
|
エンジン・オーバーホール |
100万円~ |
なお、次のような状態に該当する場合は、修理ではなく更新を検討した方が良い可能性があります。
- 非常用発電機の設置から20年以上が経過している場合
- メーカーの部品供給が終了している場合
- 同じ箇所の故障を繰り返している場合
- 修理費用が更新費用の50〜70%以上になる場合
非常用発電機の更新には、まとまった費用がかかります。しかし、更新費用を抑えるために無理に修理を続けると、再故障や追加修理が発生し、結果的に費用負担が大きくなる可能性があります。
無駄なコストを避け、安全性を確保するためにも、修理で対応すべきか更新を検討すべきかは、設備の状態や使用年数、部品供給の有無を踏まえて、専門業者に相談したうえで慎重に判断しましょう。
非常用発電機が故障する代表的な原因
非常用発電機の故障を防ぐには、故障につながりやすい原因を把握しておくことが重要です。あらかじめ代表的な故障原因を理解しておけば、適切な点検や部品交換を実施しやすくなり、突発的な故障リスクの軽減につながります。また、修理や更新に備えて予算を確保しやすくなる点も大きなメリットです。
非常用発電機は、非常時に確実に稼働することが求められる設備だからこそ、故障を未然に防ぐための管理が欠かせません。ここでは、非常用発電機で発生しやすい代表的な故障原因と対策について解説します。
- 部品の劣化
- 冷却水ヒーターの損傷
- 蓄電池の劣化
- 外装のサビ
部品の劣化
非常用発電機の故障原因として特に多いのが、各部品の経年劣化です。非常用発電機に使用されている部品の多くは消耗品であり、劣化したまま使用を続けると、始動不良や出力低下などの故障につながる危険性があります。
特に、バッテリーやエンジンオイル、燃料などは、劣化を放置すると重大なトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。そのため、定期点検を実施し、適切なタイミングで部品交換を行わなければいけません。
主な部品の交換目安は次のとおりです。
- バッテリー:3〜5年(使用環境によっては2〜3年)
- エンジンオイル・オイルエレメント:1〜2年
- ファンベルト:5〜7年
- 冷却水ホース類:5〜7年
- 燃料(軽油):6ヶ月〜1年
ただし、上記の交換時期はあくまで目安です。実際の劣化状況は、設置場所や使用環境、設備の稼働状況によって大きく変わります。そのため、年数だけで判断するのではなく、点検結果を踏まえて交換時期を見極めることが重要です。
故障リスクを軽減するためにも、実績豊富な業者に依頼し、設備の状態に合わせた適切な点検・部品交換を実施しましょう。
冷却水ヒーターの損傷
冷却水の劣化を放置すると、冷却水ヒーターが損傷し、故障につながる危険性があります。特に、劣化した冷却水を長期間交換せずに使用していると、内部で腐食やサビが発生しやすくなるため注意が必要です。
冷却水ヒーターが損傷すると、絶縁不良を引き起こす可能性があります。また、エンジン内部にサビが発生すると冷却性能が低下し、正常にエンジンを冷やせなくなるケースもあります。
そのまま使用を続けると、エンジン内部が焼き付き、重大な故障につながる危険性があるため放置してはなりません。エンジンの修理やオーバーホールには高額な費用が発生することもあるため、定期的に冷却水を交換し、冷却系統を適切に管理することが重要です。
蓄電池の劣化
蓄電池の劣化も、非常用発電機で多く見られる故障原因の1つです。非常用発電機は平常時に稼働する機会が少ないため、気付かないうちにバッテリー性能が低下し、非常時に始動できなくなるケースがあります。
また、蓄電池は普段目にする機会が少ないため、膨張や液漏れなどの異常を見逃しやすいことにも注意が必要です。特に、液漏れを放置すると電極板の腐食につながるだけでなく、端子部分に結晶が付着し、正常に通電できなくなることがあります。
こうしたトラブルを防ぐには、定期的にバッテリーの状態を確認し、必要に応じて交換することが重要です。非常用発電機の始動不良は、蓄電池の劣化が原因となっているケースも多いため、日常的な点検を欠かさないようにしましょう。
外装のサビ
非常用発電機の故障原因として見落とされやすいのが、外装のサビです。
非常用発電機は屋外や湿気の多い場所に設置されることも多く、経年によって外装部分にサビが発生することがあります。特に、平常時は稼働していないため、日常的に設備を確認する機会が少なく、小さなサビを見逃してしまうケースも少なくありません。
しかし、サビを放置すると腐食が進行し、外装に穴があいて内部へ雨水や湿気が侵入し、故障につながる危険性があります。外装のサビは見た目だけの問題ではなく、設備内部の故障を引き起こす原因になることもあります。
重大な故障を防ぐためにも、小さなサビの段階で補修や塗装を実施し、腐食の進行を防ぐことが重要です。
非常用発電機の修理が必要になる可能性があるケース
非常用発電機に異常が発生した場合は、早急に原因を特定し、必要に応じて修理を行うことが重要です。不具合を放置すると、非常時に正常に稼働せず、必要な設備へ電力供給できなくなる危険性があります。
特に、下記のような症状が見られる場合は、修理が必要になる可能性があります。
- エンジン作動トラブル
- 回転不足
- 冷却不足
こうした異常を放置すると、非常用発電機本来の役割を果たせなくなるだけでなく、避難設備や防災設備が正常に使用できず、被害拡大につながる可能性もあります。そのため、異常を確認した場合は自己判断で使用を続けるのではなく、専門業者に相談し、早めに点検・修理を実施することが重要です。
ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。
エンジン作動トラブル
非常用発電機を始動しても数分で停止してしまう場合や、同じ症状を繰り返す場合は、燃料系統に不具合が発生している可能性があります。
特に多い原因が、燃料フィードポンプの経年劣化です。燃料フィードポンプは、燃料タンクからエンジンへ燃料を送り込む重要な装置であり、劣化すると燃料供給が不安定になります。
また、燃料系統に空気が混入する「エアガミ」が発生すると、エンジンが始動しにくくなったり、始動後すぐ停止したりするケースがあります。このような場合は、燃料フィードポンプのフィルター清掃や部品交換などの対応が必要です。
エンジン作動トラブルを放置すると、非常時に発電機が始動しない危険性があるため、異常を確認した段階で専門業者へ相談し、早めに適切な修理を実施しましょう。
回転不足
非常用発電機で回転不足が発生している場合も、修理が必要になる可能性があります。回転不足の主な原因としては、燃料系統の詰まりやエア混入、ガバナ(調速機)の調整不良などが挙げられます。
ただし、外観だけで原因を特定することは難しいため、点検を行ったうえで適切な対処を実施する必要があります。実績豊富な業者へ依頼すれば、経験や知識をもとに原因を迅速に特定できるため、復旧までの時間短縮につながります。
中には、「電力供給できているなら問題ない」と考える方もいます。しかし、回転数不足を放置すると、規定電圧を維持できず接続機器に悪影響を与える可能性があります。また、症状が悪化すると、災害時に始動不能になる危険性もあるため注意が必要です。
回転不足を確認した場合は放置せず、早めに原因を特定し、適切な修理や調整を行いましょう。
冷却不足
冷却不足が発生すると、エンジンが正常に冷却されず、オーバーヒートを引き起こす危険性があります。特に、冷却水の劣化や不足は、冷却性能低下の代表的な原因です。
逆に、冷却水を定期的に交換し、適切に管理することで、防げる故障も少なくありません。しかし、冷却不足の状態を長期間放置すると、エンジン内部ですでに別の不具合が発生している可能性もあります。
そのため、冷却不足がいつから発生しているか分からない場合は、冷却系統だけでなく、関連部品も含めて点検することが重要です。エンジンの重大な故障を防ぐためにも、定期点検を実施し、冷却状態を常に把握しておきましょう。
非常用発電機の故障を防ぐためのポイント
非常用発電機の故障リスクを軽減するには、定期的なメンテナンスを適切に実施することが重要です。ただ点検を行うだけでは十分とは言えず、設備の状態に合わせた質の高い点検や部品交換を行う必要があります。
非常用発電機は、災害や停電などの非常時に確実に稼働しなければいけない設備です。そのため、不具合が発生してから対応するのではなく、故障を未然に防ぐための管理体制を整えておくことが重要になります。
ここでは、非常用発電機の故障を防ぐために押さえておきたいポイントを解説します。
- 定期的な点検を実施する
- 実績豊富な業者に依頼し適切な点検を実施する
定期的な点検を実施する
非常用発電機の故障を防ぐには、定期的な点検と適切なタイミングでの部品交換が欠かせません。特に、バッテリーや冷却水、エンジン関連部品などは、劣化を放置すると重大な故障につながる可能性があります。
また、非常用発電機の点検は、故障予防だけでなく法令遵守の観点からも重要です。非常用発電機を設置している場合は、消防法・建築基準法・電気事業法などに基づき、定期的な点検を実施しなければなりません。
各法令で定められている主な点検内容は次のとおりです。
法令 | 点検内容 |
|---|---|
|
消防法 |
・半年に1回の機器点検 ・1年に1度の総合点検 |
|
建築基準法 |
おおよそ半年から1年に1度の点検 |
|
電気事業法 |
・月1回の月次点検 ・1年に1度の年次点検 |
これらの点検を怠ると、故障リスクが高まるだけでなく、法令違反につながる可能性もあります。安全な設備環境を維持するためにも、定期点検は必ず実施しましょう。
実績豊富な業者に依頼し適切な点検を実施する
非常用発電機の故障リスクを軽減するには、実績豊富な業者へ点検を依頼することが重要です。業者によって知識や経験、対応力には大きな差があるため、どこへ依頼するかによって点検品質も変わります。
実績豊富な業者であれば、設備の状態や設置環境を踏まえた適切な点検や部品交換を実施できるため、不具合の早期発見につながります。また、故障につながる兆候を見逃しにくく、設備に合わせたメンテナンス提案を受けられることも大きなメリットです。
一方で、経験の少ない業者の場合、交換目安の年数だけを基準に部品交換を判断してしまうケースもあります。しかし、非常用発電機の部品劣化は、設置場所や温度・湿度などの環境によって大きく変わるため、一律の基準だけで判断するのは危険です。
重要なのは、設備の状態に合わせて適切なタイミングで点検・部品交換を実施することです。安全な設備環境を維持するためにも、業者を選ぶ際は実績や対応範囲を十分に確認しましょう。
まとめ
非常用発電機は、災害や停電といった非常時に必要な設備へ電力を供給する重要な設備です。しかし、部品の劣化や冷却不足、蓄電池の不具合などを放置すると、いざという時に正常に稼働しない危険性があります。
そのため、故障が発生してから対応するのではなく、日頃から適切な点検やメンテナンスを実施し、故障リスクを軽減しておくことが重要です。
また、非常用発電機の修理や更新には高額な費用がかかるケースも少なくありません。無駄な修理費用や突発的なトラブルを防ぐためにも、設備の状態を定期的に確認し、必要に応じて適切なタイミングで部品交換や修理を行う必要があります。
なお、非常用発電機の安全な運用には、依頼する業者選びも重要なポイントです。
業者によって経験や対応範囲には大きな差があり、点検のみ対応して修理や部品交換は外注しているケースもあります。このような場合、対応のたびに仲介コストが発生し、結果的に費用負担が大きくなる可能性があります。
そのため、業者を選ぶ際は、実績だけでなく、点検・修理・部品交換・更新まで一貫対応できるかも確認しておきましょう。設備の状態に合わせた適切なメンテナンスを継続することが、非常時でも安心して使用できる環境づくりにつながります。
創業60年を超える小川電機株式会社は、これまで数多くの非常用発電機の点検・修理・更新に対応してきました。長年培ってきた経験とノウハウを活かし、設備の状態に合わせた最適なご提案を行っています。
非常用発電機に関する点検や修理、更新のご相談がございましたら、小川電機株式会社へお気軽にお問い合わせください。
