
中古のキュービクルは使用期間が限られている方、導入の初期費用を抑えたい方におすすめできる選択肢ですが、耐用年数や保証内容に注意を払う必要があります。
この記事では中古のキュービクルを購入する際の値段相場や注意点、申込から設置完了までのスケジュールを詳しくまとめています。
長年キュービクルを扱ってきた実績のある小川電機株式会社の前田さん(一級電気施工管理技士)に、
「中古キュービクルを検討する事業者が知っておくべきこと」というテーマで話を伺い、プロの目線からご回答頂いた内容を記事にしています。
キュービクルの買い替え、交換を検討している事業者の方、新たにキュービクルを導入することになった方にご一読いただきたい内容です。
キュービクルとは
キュービクルとは、発電所・変電所から流れてくる高圧(6,600ボルト)の電気を、商業施設や店舗、工場、オフィスビルなど、さまざまな施設で使用する低圧(100ボルトまたは200ボルト)まで減圧する変電設備です。
私たちが日々の生活で使用する電気は、発電所から送電線によって送られてきます。送電中のロスを少なくするため、電気は高圧で送電されているため、そのままでは使用することができません。
そのため、一般家庭や小規模事務所や店舗が電気を使用する際は、電柱に設置されている変電設備によって低圧に減圧されています。これを「低圧受電契約」と呼びます。一般的に、低圧受電契約は50kW以下の電気使用量が想定されているケースに適用されます。
一方、50kW以上の消費電力が想定される場合は、「高圧受電契約」を結ぶ必要があります。この契約に基づき、電気を使用するには低圧に減圧する変電設備(キュービクル)の設置が必要です。建築基準法および消防法では、これらの設備の設置基準および防火設備の要件が定められています。これらの規定に準拠した設置工事を行う必要があります。
キュービクルには常に高圧の電流が流れているため、電気事業法および関連法規に基づき、定期的な点検が義務付けられています。しかし、さまざまなパーツで構成されているため、専門的な知識を持たない人が管理することは現実的ではありません。そのため、キュービクルの点検は、電気主任技術者法の要件に基づいた資格保有者が行うよう法律で定められています。
キュービクルは容量によって大きく3つに分けられます。
- 100KVA~200KVA:小型キュービクル
- 200KVA~500KVA:標準キュービクル
- 500KVA以上:大型キュービクル
容量が大きくなるとキュービクルのサイズも大きくなり、本体価格も高くなります。
キュービクルの導入にかかる費用相場
キュービクルの導入には、少なくない費用がかかります。キュービクルの導入には、本体価格以外にも、工事費用と月々のランニングコスト(メンテナンス費用)がかかることには注意が必要です。ここでは、キュービクルの導入にかかる費用相場について解説します。
本体価格
費用の中でも大きな割合を占めるのが本体価格です。本体価格の相場は次のとおりです。
容量 | 施設例 | 本体価格の相場 |
---|---|---|
100KVA | コンビニ、小規模店舗 | 300万円~800万円 |
200KVA~500KVA | 中規模店舗、小規模工場、中規模工場、スーパーなど | 600万円~1,500万円 |
500KVA以上 | テナントビル、病院など | 1,200万円~3,000万円以上 |
工事費用
キュービクルの導入には、工事費用がかかります。工事費用は立地や設置場所によって大きく異なるため、費用を把握することは容易ではありません。正確な費用を知るためには、専門業者に相談して見積もりを出してもらうようにしてください。
メンテナンス費用
キュービクルを導入する際は、メンテナンス費用も考慮しておかなければなりません。なぜなら、キュービクルを設置した場合は必ずメンテナンスを行うように法令によって定められているからです。目安となるメンテナンス費用は、月額5万円~10万円程度です。
中古キュービクルとは?

キュービクルの導入には少なくない費用がかかりますが、中古を選択すると費用を抑えることも可能です。ただし、中古キュービクルは一般的にイメージされている「中古」とは異なることを理解しておかなければなりません。ここでは、中古キュービクルについて解説します。
一般的に、中古販売とは、すでに使用されていた物を業者が買い取り、軽い清掃やメンテナンスを行って再販することです。キュービクルの場合、使用されなくなったキュービクルを業者が買い取り、そのまま販売しているというわけではありません。使用されなくなったキュービクルを解体し、顧客のオーダーや仕様によって新たに組み直すことで、新しいキュービクルを作って販売しているのです。
筐体やトランス、配電盤や開閉器などのパーツを再利用して新しいキュービクルを作ります。この過程で足りないパーツがあれば、新品の部品を使用することも珍しくありません。そのため「再生キュービクル」と呼ばれることもあります。
パーツが中古とはいえ、新しい部品が使われていることを考えると、新品の半額程度で購入できるのは大きな魅力といえるでしょう。
中古品のキュービクルは、全体もしくは部材の一部が新品ではありません。部材の使用年数や状態によって、キュービクルの状態も大きく異なります。中古品を選ぶ際には、用途に合ったスペックを持つキュービクルを選ぶことが大切です。

キュービクルを中古で購入する場合の価格相場
中古キュービクルの価格は、新品の50~80%ほどが目安です。ただし、あくまでも目安であり、地域や業者の条件、設置条件によって大きく異なる可能性があることを考慮する必要があります。
先ほども解説したように、中古キュービクルは顧客の要望を聞いたうえで組み立て直すうえに、新品の部品が使われることも珍しくありません。そのため、価格帯にはある程度幅があります。
中古の価格相場
規模 | 施設例 | 本体価格 |
---|---|---|
100KVA | コンビニ、小規模店舗 | 約150万円 |
200KVA | 中規模店舗、小規模工場 | 240万円~400万円 |
300KVA | 中規模工場、スーパーマーケット | 300万円~550万円 |
500KVA | テナントビル(大規模)、製造工場、病院 | 580万円~1,000万円 |
100KVAが150万円前後、200KVAが240~400万円、300KVAが300~550万円、500KVAが580~1,000万円ほどです。
中古キュービクルを選ぶときの注意点

ここからは、長年キュービクルを扱ってきた小川電機の技術者である前田さんにお聞きした
中古キュービクルを選ぶときの注意点についてご紹介します。
注意点1:耐用年数
一般的にキュービクルの部材の耐用年数は、
およそ8~15年ほどです。例えば「5年」使用された中古キュービクルの場合、部材の耐用年数の残りは3~10年ほどになります。
キュービクルを10年以上長期で使用することを考えている方に
中古品はおすすめできないということになります。中古ではなく新品のキュービクル購入が、結果的に節約となりおすすめです。
中古品の「残り耐用年数」は必ず確認してから購入して下さい。導入してから何年使用するかを逆算しておかないと、途中で交換や買い換える必要が出てきてしまいます。

注意点2:品質保証の有無

特にインターネットで中古のキュービクルを注文する際は、
保証書や試験成績表がついてるか必ず確認してください。これらは販売されているキュービクルの品質を保証するものです。
加えてトランス(変圧器)にも保証があるとより安心です。中古品の場合、パーツの耐用年数、使用部材の品質、業者の保証能力などキュービクルによって様々なので、購入前にしっかりと検討することが大切です。

注意点3:値段
値段にも注意が必要です。中古品の価格相場は新品の50~80%ほどなので、
半額を下回るような安いキュービクルは、やや品質に疑問が残ります。
相場よりも明らかに安い場合、保証書や試験成績表がついていなかったり、耐用年数が過ぎていたりする可能性もあります。

事業者様の状況に合わせて最適なキュービクルをご提案できますので、お悩みであれば気軽にお問い合わせください。
中古キュービクルの購入から設置までのステップは?

ここからは実際に中古キュービクルを購入してから、設置が完了するまでのステップを紹介します。
ステップ1:中古品販売業者を探す
まずはキュービクルの中古品販売業者を探します。上記で紹介した3つの注意点を元に、信頼できる業者を探してください。

ステップ2:設置工事の業者を決定
次に、設置工事を請け負う工事会社を探します。多くの場合、販売業者と設置工事会社の2社が関わることになります。
ステップ3:契約書締結

業者が決定したら2社と打ち合わせを重ね、契約書を締結します。
ステップ4:施工開始
契約書締結から大体2~3ヶ月以内の日程で、施行日を決めることが多いです。
ステップ5:設置完了
設置は施工開始から2~3日ほどで完了します。
「小川電機株式会社」について

今回取材にご協力頂いた小川電機株式会社は、設立から50年以上続く電材総合商社です。
キュービクルをはじめ様々なオフィス家電、マンション大型家電など、全国に強い流通ネットワークを持っています。
会社名 | 小川電機株式会社 |
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会社設立 | 1963年(昭和38年)3月21日 |
事業内容 | 電設資材・住設機器・家電製品の総合卸商社 |
所在地 | 大阪本社:〒545-0021 大阪府大阪市阿倍野区阪南町2丁目2番4号 東京支社:〒108-0023 東京都港区芝浦2-15-16 田町KSビル2F 他多数 |
資本金 | 90,000,000円 |
代表者 | 代表取締役会長 小川 能理夫 代表取締役社長 小川 雄大 |
従業員 | 365名(グループ計) |
ホームページ | https://www.ogawa.co.jp/ |
「電気施工管理技師」「電気工事士」など社員の専門資格取得も積極的に推進しており、キュービクルに関しては国内トップクラスの知見を持つ企業です。
中古キュービクルの設置を検討されている、選び方に不安をお持ちの方は
ぜひ一度小川電機にご相談ください。この記事の監修者:前田恭宏さん

氏名 | 前田恭宏 |
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経歴 | 小川電機勤務歴35年。年間15~20基、過去5年で100基以上のキュービクル取扱実績有り。1級電気施工管理技士。 |
まとめ
中古キュービクルの価格は新品の50~80%が相場です。
資金に余力のない方や短期間の使用など
明確な用途が決まっている方には中古のキュービクルをおすすめします。
しかし、上記に当てはまらない方は中古のキュービクルをおすすめできないため、購入の目的にあった適切なキュービクル選びが必要です。
購入目的の整理がつかない方や自分に合うキュービクルが分からない方は、一度お気軽にお問い合わせください。