みなさん、誘導灯について正しい知識は持っていますか?誘導灯は避難口や、それに通ずる通路に設置する照明器具です。この誘導灯は非常時には人命を救うためにとても重要なものですので、正しく設置しなくてはいけません。
さて、誘導灯を取り付けよう、と思っているみなさん、誘導灯の種類は1つだけではないことはごぞんじですか?どんな種類があり、設置しようとしているところにはどの誘導灯が当てはまるのかをきちんと理解しておきましょう。
今回はそのために、誘導灯の種類をメインに解説をしています。正しい知識を理解して、適切に誘導灯を設置しましょう。
誘導灯の目的別種類とは?
上にも描いた通り、誘導灯はすべて同じではなく、目的や用途によって種類が異なります。どんな種類があるのか、そしてどのような特徴があるのかを詳しくご紹介したいと思います。
目的別種類の特徴を知っておくことは大事
誘導灯には「避難口誘導灯」「通路誘導灯」「客席誘導灯」「階段通路誘導灯」といった4種類があります。
避難口誘導灯とは
避難口誘導灯は、直接外に通じる扉、階段に通じる扉など、扉に設置する誘導灯です。扉の上部に誘導灯を設けることで、「この扉は安全な場所に続く通路である」という表示になります。避難口誘導灯を設置しなければいけない場所は下記のとおりです。
•屋内から直接地上に通じる出入口
•直通階段の出入口
•不特定が利用する100㎡を超える居室の出入口
•特定の人が使用する400㎡を超える居室の出入口
通路誘導灯とは
通路誘導灯とは、避難口誘導灯へと道筋を表す為の誘導灯で、避難口誘導灯は緑色の地色に白色の矢印に対し、通路誘導灯は白色の地色に緑色の矢印になっています。
避難口の方向を示す誘導灯になるので、避難の際はこの誘導灯を目印に進み、避難口へと向かうことになります。
客席誘導灯とは
映画館や劇場は、室内に多くの階段や傾斜が存在します。そのため、つまづきや転倒を引き起こしやすく、避難が難しくなります。避難に必要な最低限の明るさを常時確保するため、座席の下部への客席誘導灯の設置が義務付けられています。たとえ上映中であっても、客席誘導灯は消灯してはいけません。
客席誘導灯の基準は「避難のために使用する椅子と椅子の間の通路で、0.2ルクス以上を確保」することが求められます。0.2ルクスとは、夜道くらいの明るさですが、最低でもその程度の明るさが必要ということです。
客席誘導灯の設置場所については、消防法施行規則・消防法に則った形で決めなければなりません。器具の台数は所轄の消防署との打ち合わせで検討しましょう。場合によっては客席1つずつではなく、間隔をあけて設置することも可能です。
階段通路誘導灯とは
階段または傾斜路に設置する誘導灯は、階段通路誘導灯と呼ばれます。階段の天井や壁に、電池を内蔵した照明器具を設置します。すると、通常時の明るさだけでなく、避難時の照明や階数表示を照らすため現在位置を把握できます。
階段通路誘導灯は、誘導灯特有のピクトグラムではなく、避難者に対して「階数」を知らせる設備でもあるのです。デザイン的に優れた製品が多く、階段のコーナー部分に取り付けられる器具や、ブラケット形状の製品が多数販売されていることも特徴です。
避難階段の場合、人が使用していない時間に点灯するのは省エネではありません。人感センサーを組み合わせた調光機能で、明るさを絞って消費電力を低減するとなお良いでしょう。
このように、誘導灯はその用途によって設置間隔や場所なども異なってきます。それぞれに特徴があるので、正しく覚えておきましょう。
誘導灯の大きさと種類についても知っておこう
誘導灯には上記で見たような違いだけではなく、大きさ、視認距離、表面輝度などの違いもあります。その点についても詳しく見ていきましょう。
誘導灯の大きさは3つに分類されている!
誘導灯は、その大きさによって「A級」「B級」「C級」の3種類に分類されています。より大きな誘導灯は遠方まで視認できるものとして設定されているのです。その分類は下記のようになっています。
•A級 避難方向を示すシンボルがないもの:60m
•A級 避難方向を示すシンボルがあるもの:40m
•B級 避難方向を示すシンボルがないもの:30m
•B級 避難方向を示すシンボルがあるもの:20m
•C級:15m
A級とB級には2種類あり、非難方向を示すシンボルの有無の違いがあります。方向表示が併記されている誘導灯は、視認距離が短く設定されています。またC級については、矢印付きの避難口誘導灯は存在しません。
チカチカと点滅しているのは意図的誘導方法だった
誘導灯は、その大きさ以外にも種類があり、その誘導のしかたも非常に大切なことです。どういった誘導のしかたかによって非常時に目立つかも関係してくるのでその意味もしっかりと把握しておきましょう。
誘導方式の種類一覧!
誘導方式は「一般型」「点滅式誘導灯」「誘導音付加型誘導灯」の3種類があります。どんな方式なのかを詳しくご紹介します。
一般型
一般型はその名の通り、最も一般的に使われている方式です。付加機能がなく、明るさで避難口を表示するものです。
点滅式誘導灯
こちらは点滅する機能が付加された誘導灯になります。点滅方式には2種類あり、明るさが可変する内照式と、ストロボフラッシュで内照式より明るく点滅する外照式があります。チカチカと点滅することで、一般型よりも目立ちやすいのがメリットです。
誘導音付加型誘導灯
こちらは、通常の誘導方式に点滅機能が付加し、さらに音声による誘導案内「非常口はこちらです」が繰り返し流れる誘導方式です。
点滅機能にさらに音声機能が追加されたことにより、かなり目立ちやすくなっています。音声も比較的大きい音なので誘導方式としては理想的といえるでしょう。このように、誘導方式には3つの種類があります。設置したい場所にはどの方式が合っているかを考えてみましょう。
誘導灯は光源も違う?エコが実現?
誘導灯も、実は昔と今では光源が違います。現在は、節約にもなり、CO2削減も心がけることができる光源を採用する誘導灯が多くなっています。どういった光源なのかをみていきましょう。
誘導灯にもLEDを使用!エコを実現!
誘導灯は昔は蛍光灯タイプが多く、今でも蛍光灯タイプを使っているところはありますが、最近ではLED光源が主流です。
ご存知の方も多いと思いますが、LED(Light Emitting Diode)とは「発光ダイオード」とも呼ばれています。1990年代に日本の技術者によって開発され、実用化されました。
では、誘導灯がLED光源になることによってどんなメリットがあるのでしょうか?それをご紹介したいと思います。
コスト削減につながる
LEDの照明は蛍光灯の証明と比べて35%の電力で使用することができます。かなりの省エネとなり、65%もの電気代を削減することにつながると言われています。
交換頻度が減る
LEDは白熱電球の約40倍、蛍光灯の約50倍の寿命があり、長時間持つことが特徴の照明です。なかにはもっと長寿命のものも開発されているため、交換頻度が蛍光灯タイプと比べてかなり少なくなるでしょう。
ただ、後にも記述しますが、LEDにしたからといって点検や検査を怠ることはしないようにしてくださいね。
安全性も認められている
蛍光灯は通常ガラス管を用いて作られています。ですが、LEDはポリカーボネイトという樹脂素材でコーティングが施されているため、外部からの衝撃や振動にとても強くなっています。
万が一落下したとしても割れないため、蛍光灯タイプと比べて安全性はかなり上がるといえるでしょう。また、蛍光灯の誘導灯には有害な水銀やカドミウムが含まれている場合があります。しかし、LEDタイプにはこのような物質は含まれていませんので、建物管理者も安心して採用できます。
周囲への影響が少ない
LED光源には紫外線や赤外線がほとんど含まれていません。そのため周囲のものが劣化することを防ぎます。また、紫外線に惹きつけられる害虫などが寄ってくることを防止できます。
LED誘導灯で人気の種類はなに?
今から誘導灯の設置を考えているという方は、やはりLED方式を選ばれると思います。では、どんなメーカーのLED誘導灯がオススメなのか知りたいですが……現在はPanasonicのLED誘導灯が人気なようですね。
基準に合った種類を選んで誘導灯を設置しましょう
誘導灯の種類についてご案内しました。誘導灯には様々な種類があります。この種類について正しく知ることによって、より正しい設置ができるようになります。それでは最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
①誘導灯には「避難口誘導灯」「客席誘導灯」「階段通路誘導灯」の3種類があります。
避難口誘導灯は、直接外に通じる扉、階段に通じる扉などの外部につながる扉に設置する誘導灯。客席誘導灯は、映画館や博物館などの大型施設に設置するものです。歓談通路誘導灯は、その名の通り階段または傾斜路に設置する誘導灯です。
②誘導灯は、その大きさによって「A級」「B級」「C級」の3種類に分類されています。
•A級 避難方向を示すシンボルがないもの:60m
•A級 避難方向を示すシンボルがあるもの:40m
•B級 避難方向を示すシンボルがないもの:30m
•B級 避難方向を示すシンボルがあるもの:20m
•C級:15m
上記のように分かれていますので、覚えておきましょう。
③誘導方式は「一般型」「点滅式誘導灯」「誘導音付加型誘導灯」の3種類があります。
一般型は、付加機能がなく明るさのみで表示しているものです。点灯式誘導は、転倒機能が付加されているため、一般型よりも目立ちやすくなっています。点灯式にさらに音声機能を追加したものが誘導音付加型です。
④誘導灯は現在はLED式のものが主流になっており、様々なメリットがあります。
・コスト削減
・交換頻度が減る
・安全性もバツグン
・周囲のものへ影響が減る
このような利点がありますので、積極的にLED式のものを使うようにしましょう。
誘導灯にも「種類」がたくさん!その種類の意図はわかりましたか?
何においても初めに出てきたものの後からそれに似た違う種類のものが出てくる……ということは良くあることです。しかし、誘導灯などの非常時に必要となってくるものの場合、全てに意図があるということがわかったのではないでしょうか。
サイズの大きさが違うと見え方が違う、光の大きさや距離が違えばより遠くの人に気付いてもらえる。いざという時に役立たなければ誘導灯の意味がありません。
だからこそ設置基準をクリアし、その場にあった誘導灯を配置し、いつなにがあってもいいように点検もし準備をしておく、ということがとても大切であることをご案内しながら再確認できました。
人の命に関係してくる設備の「誘導灯」、この機会に再確認してはいかがでしょうか。