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省エネ性能の高いトランスへ更新すれば、電力損失が減る分だけ電気代の削減が期待できます。ただし、削減効果は使用中のトランスの性能や負荷、通電時間などによって変わります。

では、トランスではどのように電力ロスが生じ、更新によってどのような効果が期待できるのでしょうか?電気代の削減額が小さいと思っている場合こそ、損失の仕組みを理解しておくことが大切です。

特に古いトランスでは、使用状況や設置環境によって効率が低下している場合があります。設置から年数が経過しているなら、現在の状態と更新効果を確認したうえで入れ替えを検討しましょう。

今回は、トランスの電力ロスの仕組み、省エネ化の方法とメリット、更新費用、入れ替え時の注意点を解説します。ランニングコストを抑えたい方や、古いトランスの更新を検討している方は参考にしてください。

▼この記事のポイント

  • 省エネ性能の高いトランスへの更新は、電力損失と電気料金の削減につながります。
  • トランスでは、通電中に生じる無負荷損と、電力供給時に増える負荷損が発生します。
  • 更新費用は本体価格、撤去・搬入・設置工事費、古いトランスの処分費で構成されます。
  • 更新時は納期、停電計画、PCB含有の有無を早めに確認します。

この記事の監修者

杉本 隆樹

杉本 隆樹

小川電機株式会社 マーケティング本部

2級電気施工管理技士 2級管施工管理技士

小川電機東大阪エリアにて、約23年にわたり営業として従事。 空調や照明からトランス、キュービクル、制御盤、電線まで、電気設備全般に幅広く携わってきました。 トランスの導入・更新に関する不安や疑問にも、現場経験をもとにわかりやすくご説明いたします。

トランスの電力消費の仕組み

トランスでは、通電しているだけで生じる無負荷損と、二次側へ電力を供給すると増える負荷損が発生します。省エネ効果を判断するには、この2つの損失を理解することが重要です。

どちらの損失も最終的には電気料金に影響するため、現在の状態を把握しておきましょう。まずは、電力ロスが発生する仕組みと、古いトランスでロスが大きくなる場合がある理由を確認しましょう。

トランスは通電しているだけで電力を消費している

トランスは、二次側で電気を使っていない状態でも、通電していれば電力を消費します。このときに生じる損失が無負荷損です。負荷がなくても発生するため、設備を使っていない時間帯にも損失が続くことが特徴です。

二次側へ電力を供給すると、巻線の抵抗などによる負荷損が加わり、消費電力が増えます。負荷損は供給する電力が増えるほど大きくなるため、実際の使用状況によって変わります。

このように、トランスでは負荷の有無にかかわらず、通電中は損失が発生します。省エネを考えるうえでは、無負荷時にも電力ロスがあることを押さえておきましょう。無負荷損と負荷損の両方を捉えることで、省エネ性能の違いを適切に比較できます。

無負荷損の影響は施設の通電時間によって異なり、長時間通電している設備ほど年間の損失が積み重なります。そのため、通電時間が長い設備では省エネ化による効果も大きくなります。

短時間しか通電しない設備と、長時間通電する設備では、同じ損失値でも年間の影響は異なります。運用状況と合わせて評価してください。

電力ロスを抑えることは、電気料金の削減だけでなく、エネルギー消費とCO2排出量の削減にもつながります。省エネに取り組む姿勢を示すことは、企業にとっても意味があります。電力使用量を継続的に抑える取り組みとして、設備そのものの効率を見直すことが大切です。

実際に、無負荷損を抑えるため省エネ性能を高めたトランスが導入されています。コスト削減や環境対策を進めるなら、設備更新も選択肢の一つです。

古いトランスはロスが大きくなっている場合がある

古いトランスは、電力ロスが大きくなっている場合があります。使用状況や設置環境によって異なり一概にはいえませんが、長年の使用で内部の絶縁体や部品が劣化し、効率が低下する可能性があるためです。古いという理由だけで効率低下を断定せず、点検結果や測定値に基づいて状態を判断してください。

トランスは、二次側で電気を使っていなくても、鉄心を磁化する励磁電流が流れることで無負荷損が生じ、消費された電力の一部が主に熱として失われます。この仕組みによって、実際に機器へ電力を供給していない間にも損失が発生します。

そのため、二次側へ電力を供給していない状態でも損失は発生し、省エネ性能の高いトランスとの差が積み重なります。

長期間使用しているトランスは、点検結果と電力ロスを確認し、必要に応じて更新を検討しましょう。効率が低下した状態では、余分なエネルギーと電気料金が発生している可能性があります。

トランスのロスが多いことで生じる問題

トランスの電力ロスが多い状態を放置すると、電気料金の増加、過度な発熱、事故リスクの増加につながるおそれがあります。

  • 電気料金の増加
  • 過度な発熱
  • 事故リスクの増加

ここでは、それぞれの問題を詳しく解説します。

電気料金の増加

無負荷損も使用電力量に含まれるため、二次側で電気を使っていない間も電気料金は発生します。一次側では通電による損失が生じているためです。

少量の損失でも、通電時間が長ければ年間の電力量として積み重なります。電気料金を評価するときは、設備で使う電力だけでなくトランス自身の損失も考慮しましょう。

特に古いトランスは、内部の絶縁体や部品の状態によって効率が低下している場合があります。余分な電気料金を払い続けないためにも、点検結果を踏まえて更新効果を確認することが重要です。

更新を検討するときは、現在の全損失と新しい機器の全損失を比べ、想定する通電時間や負荷を踏まえて削減量を確認します。

過度な発熱

トランスで失われる電力の一部は熱になります。経年劣化などによって効率が低下している場合、発熱が大きくなることがあります。発熱量は負荷や周囲温度などにも左右されるため、通常時の温度と比べて変化を確認することが重要です。

過度な発熱を放置すると、熱によって内部の絶縁体や部品の劣化が進み、トランスの寿命を縮めるおそれがあります。劣化が進むと、さらに発熱しやすくなる悪循環へつながる可能性もあります。異常な温度上昇を見過ごさないでください。

無駄なエネルギー消費と劣化の進行を抑えるため、定期点検を行い、状態に応じて部品交換や設備更新で適切な状態を維持してください。点検では温度だけでなく、異音、臭い、外観の変化なども確認します。複数の情報を組み合わせて状態を判断しましょう。

事故リスクの増加

劣化によってエネルギー効率が低下したトランスを放置すると、絶縁破壊による短絡、焼損、発煙などの事故につながるおそれがあります。

事故が発生する前には、温度上昇や異臭などの変化が現れる場合があります。日常点検で通常との違いを捉えることが重要です。

短絡や焼損は火災へ発展する危険があり、停電が起きれば施設内の安全や事業継続にも影響します。点検不足が事故の原因と判断されると責任問題へ発展する可能性もあるため、定期点検を欠かさないでください。

電力ロスの増加だけでなく、事故が起きた場合の影響まで考えて対応することが重要です。

トランスを省エネ化する方法

トランスを省エネ化する有効な方法は、省エネ性能の高い新しい機器へ更新することです。

古いトランスは使用状況によって経年劣化が進み、効率が低下している場合があります。更新前には現在の負荷と損失を確認し、新しい機器へ替えた場合の削減効果を比較します。

現在市場に流通しているトランスはトップランナー3基準を満たしているため、古い機器から更新すれば大きな省エネ効果が期待できます。ただし、実際の削減量は負荷や通電時間によって異なるため、使用条件を踏まえた試算が必要です。

トップランナー3は、省エネ法に基づき2026年度から適用される事業用変圧器の新しい省エネ基準です。2019年度の実績と比べて、全体として約11.4%の効率改善が見込まれています。

▼併せて読みたい:

  • トップランナー3とは?変圧器の対象範囲と更新時の注意点を解説

トランスは通電中に損失が発生し続けるため、この差は長期的な電力使用量に影響します。基準値の向上は個々の設備の削減率を一律に示すものではないため、導入効果は仕様書などで確認してください。

新しいトランスへの交換には費用がかかりますが、電力ロスを抑えて省エネ化できるほか、CO2排出量の削減にもつながります。初期費用だけでなく、更新後の電気料金を含めて長期的に比較することが大切です。

環境問題は社会全体で取り組むべき課題です。企業が省エネ設備を導入することは、コスト削減とともに環境対策への姿勢を示すことにもなります。電力コストの削減と環境対策を進めたい場合は、現在の損失と更新後の効果を比較し、トランスの入れ替えを検討してください。

省エネトランスに交換するメリット

省エネトランスへ交換すると、ランニングコストの軽減、環境対策、安全性の向上と設備の長寿命化が期待できます。ただし、交換費用もかかるため、効果とコストを比較して判断することが重要です。メリットの大きさは設備の使用状況で変わるため、自社の条件で確認してください。

ここでは、省エネトランスに交換する3つのメリットを詳しく解説します。

  • ランニングコストの軽減
  • 環境問題への取り組み
  • 安全性の向上と設備の長寿命化

ランニングコストの軽減

省エネトランスは電力損失を抑えられるため、電気料金の軽減につながります。トランスでは二次側で電気を使っていないときも、通電中は無負荷損が発生します。

長時間通電する設備ほど削減効果が積み重なるため、更新によるランニングコストの差は小さくありません。現在の損失と更新後の損失を比較すれば、費用削減の見通しを立てやすくなります。

環境問題への取り組み

省エネトランスへの交換は、エネルギー効率を高め、CO2排出量を減らすことにつながります。電気料金の削減と同時に、環境対策を進められることがメリットです。

地球温暖化は世界的な課題であり、企業にも省エネへの取り組みが求められています。設備の省エネ化は、事業活動を続けながら環境への配慮を示す方法の一つです。

環境対策を経営上の課題として捉え、設備更新の判断に含めましょう。

安全性の向上と設備の長寿命化

省エネトランスは損失が少ないため、本体の発熱を抑え、周辺機器への熱負担を軽減できます。その結果、安全性の向上と設備の長寿命化が期待できます。

設備の安全性を高めることは、社会的信用だけでなく、従業員や顧客の安全を守ることにもつながります。

トランスの省エネ化にかかるコスト

トランスの省エネ化にかかる費用は、容量、施設規模、設置条件によって変わります。正確な金額を把握するには、現地条件を確認した業者の見積もりが必要です。

見積もりでは、本体だけでなく工事と処分まで含まれているか確認してください。主な費用の内訳は、次のとおりです。

  • 新しいトランスの本体価格
  • 工事費用(撤去費用・搬入費用・設置工事費用)
  • 古いトランスの処分費用

処分費用を見積もる際は、古いトランスのPCB含有の有無を確認してください。

低濃度PCB廃棄物は、環境大臣の認定を受けた無害化処理施設、または都道府県知事等の許可を受けた処理施設で処分する必要があります。PCB含有の可能性がある場合は分析や特別な処理が必要になり、通常の廃棄より費用が増えることがあります。

収集・運搬を委託する場合も、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ事業者へ依頼しなければなりません。低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月31日です。該当する可能性がある場合は早めに専門業者へ相談してください。

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省エネトランスに入れ替えるときの注意点

省エネトランスへ入れ替えるときは、納品時期を確認し、停電を伴う工事日から逆算して計画することが重要です。納期が分からなければ、具体的な工事スケジュールを組めません。

交換工事では安全確保のため停電が必要になるため、定休日など施設への影響が少ない日に行うのが一般的です。ただし、トランスは注文後すぐに届くとは限りません。

国内メーカーの標準品でも納品まで5~6か月程度、大型・特注仕様では6~8か月以上かかる場合があります。更新を検討しているなら、早めに調達を始めましょう。

分類

納期の目安

標準品(国内メーカー)

約5~6ヶ月

大型・特注仕様

約6~8ヶ月以上

納期は仕様や時期によって変わるため、見積もり時に最新の予定を確認してください。工事日を先に固定しすぎないことも大切です。

故障による緊急交換では、在庫を保有する業者へ依頼することで納期を短縮できる場合があります。在庫品が既設設備の容量や電圧、寸法に適合するかを確認したうえで選定してください。

小川電機株式会社では、単相50~300kVA、三相75~750kVAを中心に在庫を保有しています。在庫がある場合は最短で出荷できます。

種別

取扱製品

在庫品

単相

50~500KVA

50~300kVA

三相

75~2,000KVA

75~500kVA

早急な交換や省エネ化をご検討の際は、容量などの情報を添えてお気軽にご相談ください。お問い合わせの際に銘板情報や希望時期を共有いただくと、適合する在庫と納期を確認しやすくなります。

まとめ

トランスでは、二次側で電気を使っていないときも、通電していれば無負荷損が発生します。

古いトランスは、使用状況や設置環境によって効率が低下し、電力ロスが大きくなっている場合があります。通電時間が長い施設では、わずかな効率差でも年間の損失へ積み重なる点を考慮してください。

効率低下による過度な発熱は、内部部品や周辺機器への負担を増やし、焼損や火災などの事故リスクを高めるおそれがあります。古いトランスは定期的に点検し、状態を把握してください。

省エネ性能の高いトランスへ更新すれば、電力損失と電気料金を抑え、CO2排出量の削減も期待できます。

トップランナー3基準に対応した機器への更新では、省エネ効果だけでなく、容量、設置条件、費用、納期を確認することが重要です。新しい機器を設置できるスペースと搬入経路があるかも、選定前に確認しましょう。

現在の損失と更新費用を比較し、点検結果を踏まえて入れ替え時期を判断しましょう。小川電機株式会社では在庫状況に応じた納期をご案内しますので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

杉本 隆樹

杉本 隆樹

小川電機株式会社 マーケティング本部

2級電気施工管理技士 2級管施工管理技士

小川電機東大阪エリアにて、約23年にわたり営業として従事。 空調や照明からトランス、キュービクル、制御盤、電線まで、電気設備全般に幅広く携わってきました。 トランスの導入・更新に関する不安や疑問にも、現場経験をもとにわかりやすくご説明いたします。

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