エコキュートの購入を検討してる人は不安になり、音がうるさい商品だったらやめようかな、と考えてしまうと思います。
では実際にエコキュートからどのくらい大きな騒音が出るのでしょうか。家電の中には音の出るものはたくさんあります。エアコン、洗濯機、冷蔵庫、掃除機なども騒音トラブルは起こっています。音の大きさによってはそこまで気にしなくてもいいかもしれません。
エコキュートの導入は考えているけど近隣住民には騒音の迷惑をかけたくない方がほとんどだと思います。エコキュートから実際に出る騒音の大きさはどれくらいなのか、また少しでも騒音を小さくするためにできる対処方法はどんなものがあるのかをまとめてみました。
目次
エコキュートの騒音はどれくらい?
では、今までにエコキュートがどのような騒音トラブルを起こしていたのか調べてみました。エコキュートは、夜の安い電力を使ってお湯を作り置きしています。
そのためお湯を沸かすため、周囲が静かになった夜に機器が動き出します。エコキュートで一番多いトラブルは、隣の家の人からうるさくて眠れないといった苦情です。
また騒音ではないのですが、室外機が隣の家の窓や通気口の近くの位置に設置されていると、エコキュートから出る冷たい空気が隣の家に流れてしまいます。エコキュートの室外機からは、マイナス10度近く冷えた空気が出るため冬は隣の家に迷惑をかけてしまいます。
エコキュートの音の大きさはどのくらいなの?
ではエコキュートの音で眠れないとは、音の大きさはどれくらいでしょうか。
エコキュートの音の大きさは40dBくらい、大きさのレベルでいうと、静かな住宅地の小鳥の鳴き声レベルです。わかりやすい例で人の会話の声で、音のレベルは60dBです。
40dBの音の大きさ自体はそこまで大きくありませんでした。しかしエコキュートが作動しているのが夜であるため、昼間に比べると周りが静かなので少しの音でも気になる可能性はあります。
音の大きさはそこまで大きくないのになぜ?原因はあるの?
音はそんなに大きくなかったのにエコキュートの騒音が問題になるのは、なにか原因があるのでしょうか。エコキュートの音を不快に思うのは音の大きさではなく騒音と一緒にエコキュートから低周波音が出ているからと言われています。
エコキュートの仕組みは外気を室外機から取り込んでお湯を作り出すヒートポンプ方式を採用しています。この空気を熱エネルギーに変えるヒートポンプユニットの部分から低周波音が出ているのです。
大きさで言うと12.5Hz程度でこの低周波音も通常は人の耳では聞き取れない大きさです。しかし、低周波音が影響することで身体に不調が出てきてしまい、長く続くと頭痛や手足のしびれなどを発症してしまうこともあります。
低周波音の難しいところは普通の騒音のように人の耳で聞こえてうるさいかどうかが判断しにくいところです。低周波音の聞こえ方には個人差が大きく、聞こえ方の差は敏感な人と鈍感な人では2倍近く違うという結果も出ています。
エコキュートはガタガタ一晩中大きな音で騒音を出すものではないと安心できましたが、低周波音という聞こえない音の問題が大きく影響していることがわかりました。
音は小さくても健康被害が出てしまう可能性があるので、近隣住民への配慮の必要があります。なるべく設置場所は夜に人の利用しない部屋の近くに設置し、寝室近くは避ける方がいいでしょう。では、具体的な騒音対策を次にご紹介していきたいと思います。
エコキュートの騒音の対策方法はあるの?
エコキュートの騒音の対策方法ですが、最初に設置場所をどこにするかがとても重要です。設置する場所によって、騒音がどのように聞こえるかが変わってきますのでしっかり設置場所を考えましょう。
エコキュートは機器が大きいため設置後に動かすことは難しいです。設置業者の人としっかり相談して設置場所を選んでください。
エコキュートの発売当初は、騒音問題が起きるとはあまり考えられておらず設置業者も寝室の位置などはあまり気にせず設置していました。最近は設置場所も騒音を配慮して検討されるようになってきました。
では具体的には、どこにどのように設置すれば騒音を抑えられていいでしょうか。エコキュートの最適な備え付け場所は以下の通りです。
エコキュートの設置場所について
①自宅、隣接する家の寝室のそばを避けた場所
②ヒートポンプユニットの周りが窓や床下通風口等の音の侵入口になるのを避けた場所。寝室や通気口を避けるのは2階も含みます。音は上に抜けていくので2階の部屋の場所も注意してください。
③ヒートポンプユニットの周囲には約3メートルスペースを設けられる場所
壁や塀がヒートポンプの近くにあると、音が反射して騒音がさらに大きくなる可能性があります。家とヒートポンプの周りには広いスペースを設けてください。
お風呂の近くに寝室があるような場合は、ヒートポンプユニットと貯湯ユニットとの設置場所を離して設置することもできるので、貯湯ユニットはお風呂場の近くに設置し、ヒートポンプユニットだけは道路側に設置するといった工夫もできます。
エコキュートの備え付けについて
次に備え付けの方法です。ヒートポンプユニットの据付け方法に不具合があると機器の騒音・振動が増大し、騒音の原因となる場合があります。
①運転音や振動が増大しないように強固な台に据付ける。
②ベランダ、テラス、壁面、高置き台等に据付ける場合は、振動による音が発生する可能性があります。強度が十分にある場所に据付ける。また、振動音がする場合は、防振ゴムを敷くと軽減します。
③水平に据付ける
このように設置の場所を選んで取り付けておけば、騒音のトラブルは起きにくくなります。設置場所について詳しく知りたい方は、日本冷凍空調協会の「家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」を参考にしてみてください。具体的な設置例がわかりやすく載っています。
「家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」→ http://jraia.or.jp/download/e-book/Set_Gb/e-book_SetGB.pdf
その他の防音対策は?
その他にすでにエコキュートを設置している方ができる簡単な防音対策は、「防音シート」「制振材」をつけることです。ヒートポンプユニットの音を軽減させる事ができます。
防音シートは裏面が粘着になっているものが売っているので簡単に貼ることができます。貼る場所はファンや排気口などを塞がないようにだけ注意して貼りましょう。
制振材は揺れを吸収してくれるので作動時の振動音を吸収してくれます。エコキュートの場所を動かさなくてもできることはありますので試してみてください。
防音対策として隣の家と自分の家の間に塀を作る方法もあります。塀を作る場合は、音を防ぐためには高さがヒートポンプより1メートルほど高く作る必要があります。
こまめなメンテナンスで騒音を抑える
騒音対策をした場所に設置をしてエコキュートを購入してすぐは騒音が気にならなくても、長く使っていくにつれて騒音が出てしまう可能性があります。
エコキュートの寿命は10年~15年です。だんだん古くなってくると劣化により正常に作動しなくなり、騒音が出る可能性があります。そうならないためにはこまめな点検が必要です。
購入当初の状態をなるべく維持するということは、エコキュート自体の寿命を延ばすことにもつながります。定期点検は騒音だけでなく長持ちさせる意味もあるのでぜひ実施してください。
自分でできるメンテナンスとは?
まず、自分でできることは、1年に2~3回ほど貯湯タンクの水を排水して水抜きを行います。そして、電源類がちゃんと作動しているか、漏電遮断器や逃し弁の作動の点検を行いましょう。
防音対策で防音シートや制振材などを取り付けた場合は、屋外で使用しているので数年に1回新しいものに交換した方がいいでしょう。
また、普段も旅行などで長期間使用しない場合は、エコキュートの電源を切ってください。1ヶ月以上使用しない時は、貯湯タンクのお湯もすべて排水するようにすると劣化しにくくなります。
自分でも簡単な点検はできますが、3年に1回はプロの細かな点検が必要です。専門業者の人に定期点検を依頼しましょう。逃し弁、減圧弁などのチェックは自分ではできません。
使用年数が10年以上の場合は、点検の頻度を増やし、1年に1回くらいは見てもらった方がいいです。定期点検は故障を未然に防ぐこともできるため大切なことです。エコキュートをより正常な状態で使用し続けることで近所に迷惑を掛ける可能性も低くなります。
メーカー別エコキュートの騒音
エコキュートは、ブランド名ではなく商品名です。いろいろなメーカーより発売されています。エコキュートの音の大きさはメーカーごとではどれくらい差があるのでしょうか。有名メーカー別にエコキュートの音の大きさを比較してみました。
運転音の大きさは、作れるお湯の量(タンクの大きさ)と外気の気温によっても変動します。ここで紹介するのは、「中間期」として東京の平均気温が外気温16度の時と、「冬期」の冬場を想定した外気温7度の時の結果です。タンクの容量は460Lと370Lタイプのもので調べています。
各メーカーごとの音の大きさ
パナソニック製のエコキュート
460Lタイプ→ 中間期:42デシベル-冬期:45デシベル
370Lタイプ→ 中間期:38デシベル-冬期:43デシベル
※2016年9月発売モデルのデータ
三菱電機製エコキュート
460Lタイプ→ 中間期:42デシベル-冬期:45デシベル
370Lタイプ→ 中間期:38デシベル-冬期:43デシベル
※2016年8月発売モデルのデータ
ダイキン製エコキュート
460Lタイプ→ 中間期:40デシベル-冬期:45デシベル
370Lタイプ→ 中間期:38デシベル-冬期:44デシベル
※2016年6月発売モデルのデータ
日立製エコキュート
460Lタイプ→ 中間期:42デシベル-冬期:44デシベル
370Lタイプ→ 中間期:38デシベル-冬期:43デシベル
※2016年11月発売モデルのデータ
コロナ製エコキュート
460Lタイプ→ 中間期:42デシベル-冬期:45デシベル
370Lタイプ→ 中間期:38デシベル-冬期:43デシベル
※2016年6月発売モデルのデータ
寒くなる冬場やタンク容量の大きなものになると、必要なエネルギーも増えるため音の大きさも大きくなってしまうことがわかりましたが、メーカーごとにはあまり音の大きさに差がありませんでした。
購入の際、騒音の大きさでメーカーを選ぶ必要はありません。エコキュートを選ぶ時は商品についている機能で選んでいいと思います。メーカーによっては床暖房や浴室ミストなどの機能も付けることができます。
一つ気にするとすればタンクの容量です。家族が多い場合、タンクの容量は大きい方がいいです。ただ、あまり湯量を使用しないのに大きいタイプの使用すると無駄に騒音を出してしまうこともあります。
エコキュートの騒音は改善できる
エコキュートは昔からある給湯器ではありません。2001年に発売されはじめ、2007年に国が環境に優しい商品としてエコキュートの導入に補助金を支給したこともあり、日本で一気に普及しました。
今では発売台数累計は400万台を超えています。新しい商品の急速な普及により想定していなかった騒音などの問題もたくさん起きてしまいました。
しかし発売から10年が過ぎ、エコキュート業界も問題に対し対策をとるようになりました。日本冷凍空調工業会は、2011年に「家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」を作り、設置場所や騒音対策のガイドラインを発表しました。各メーカーも運転音の制御に対する対策をとっています。
騒音問題は発売当初よりどんどん改善はされていますが、やはりエコキュートを使用する側の配慮は今も必要です。騒音に対して意識することで、騒音は大幅に軽減されます。近隣住民に迷惑にならないように設置場所や防音シートなどを工夫し、定期的にメンテナンスをするようにしましょう。