みなさんはエコキュートってご存知でしょうか?名前くらいは一度は聞いたことがあると思います。なんとなくCMで見て、省エネで電気代が安くなるイメージをお持ちではないでしょうか。
エコキュートとはどういうものか、そして具体的にどれくらいお得になるのかをご説明していきます。
エコキュートとは、「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」のことです。簡単にいうと水道の蛇口をひねるとすぐにお湯が出るためのもので、給湯器には、大きく分けて2種類があります。
ガスでお湯を沸かすものと電気でお湯を沸かしてタンクに貯水するものがあります。エコキュートは、電気を利用した電気温水器ですが、電気だけでなく外の空気を取り込みお湯を沸かす「ヒートポンプシステム」を採用しています。
フルオートヒートポンプシステムは、エアコンや冷蔵庫でも使われている技術です。空気の中に含まれている熱エネルギーに電気エネルギーを少し加えることで、大きな熱エネルギーを作る仕組みです。
ヒートポンプを利用することで、使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得られるため、貴重なエネルギー資源を有効に使えるようになります。
エコキュートは通常の電気式の給湯器より電気代は安く、またガス式より排出される二酸化炭素量も大幅に削減されるので地球にもやさしいのです。
では、具体的にエコキュートを導入するとどれくらいお得になるのでしょうか?エコキュートの寿命から考えられるコストやその効果についてもみていきましょう。
目次
エコキュートの寿命はどれくらい?
では、エコキュートの寿命はどれくらいでしょうか。最初の設置費用が高くても、長く使えるものだとお得になります。エコキュートはいろいろなメーカーより販売されていますので、ここでは平均的な年数でご紹介します。
エコキュートの寿命は意外と長いんです
エコキュートの寿命は、だいたい10年~15年、ほかの家電の寿命をあげると、テレビは7年、炊飯器は6年、デジタルカメラは4年くらいです。他の家電に比べるとエコキュートは長く使えるということがわかります。
長く使うものなので購入のときはちょっとした価格差よりも、しっかり機能を比較して選んだほうが後悔しなくてすむと考えてよいでしょう。
寿命がきて故障してしまったらどうしたらいいの?
しかし10年すぎて故障してしまったときは、修理が難しいです。エコキュートも毎年よりよい新しい機種が次々に発売されています。そのためパーツもモデルチェンジされており、古い機種だとメーカーにパーツがなく修理工事ができません。
家電メーカーのスペアのパーツの保管期間はたいてい10年です。そのため10年をすぎて壊れた場合は、ほとんどが新品に買い替えることになります。
少しでも長く使用する為にメンテナンスを
少しでも長くエコキュートを使うためにはどうすればいいでしょうか。エコキュートには、お湯を沸かすヒートポンプユニット部分と作ったお湯を貯めておく貯湯タンクがあります。
貯湯タンク部分は、定期的にメンテナンスをして良い状態を保つことができれば、10年以上使えると思います。しかし、ヒートポンプユニット部分の寿命は貯湯タンクより短くなります。
電気回路が集中している部分でもあるため、比較的この部分が故障の原因になりやすいのです。だいたい5~10年くらいが寿命とされています。エコキュートの寿命を長くするためにはメンテナンスが重要になってきます。
特にヒートポンプユニットは定期的に点検をおこなっているかどうかで寿命が大きく変わってきます。詳しくは後半にご紹介します。
エコキュート耐用年数はどれくらい?
エコキュートの法定耐用年数は6年とされています。さきほどは、エコキュートの寿命は10年~15年と言っていたのに、耐用年数は6年なの?たった6年しかエコキュートは使えないの?とお考えになると思いますが、それは違います。耐用年数と寿命の考え方は異なります。
耐用年数とは?
耐用年数について説明すると会計の少し難しい話になりますが、高額な設備を購入した時、購入代金は減価償却を行います。
減価償却とは、購入した資産の購入代金をその年の費用として1回で計上するのではなく、耐用年数で分割して数年にかけて費用として計算します。使用すると想定される期間で費用を分担するのです。
たとえば、60万円のエコキュートを購入したとすると、購入した年に、60万円の費用として計上するのではなく、エコキュートの法定耐用年数が6年なので……
60万円(購入金額)÷6年(耐用年数)=10万円となり、6年間で10万円ずつ費用を分割して計上する、ということになります。
実際、会社などで帳簿をつけている方は必要ですが、普通の家庭では必要はないのでそちらもきちんと把握しておいてください。
寿命と耐用年数は違うもの
つまり耐用年数は、あくまでもこれくらい使えるだろうというざっくりと想定された期間であり、実際の寿命とは意味が異なります。エコキュートは実際は10年~15年くらいは使えますので安心してください。
買い替え計画を立てるときには、法定耐用年数を目安に積み立てをして準備しておくと良いでしょう。壊れてしまってから、「給湯器がないと困るけど、買い替えのためのお金は準備していなかった」ということのないように、6年後を目安に準備をしましょう。
わかりやすい例をあげると、エアコンの法定耐用年数も6年です。エアコンも実際は、10年以上使っている家はたくさんあると思います。法定耐用年数とはそういうものなのです。
エコキュートを長持ちさせる為のメンテナンス方法とは?
次にエコキュートを10年以上使うために、気をつけてほしい使用方法と、定期メンテナンスについてご説明します。定期的にエコキュートをお手入れをするかどうかで、寿命ぎりぎりまで使えるかどうかも変わってきます。
水質が大事?
まず、普段使用する際に気をつけてほしいことは、水質です。家電を設置する時電気の電圧などは考えますが、水のことはあまり考えていない方が多いと思います。エコキュートの寿命が10年~15年というのはあくまでも水道水で使用した場合です。
各メーカー「温泉水」「地下水」「井戸水」「硬水」で使用した場合は想定外となっています。場合によっては故障しても無償修理ができない可能性があります。
最近では、井戸水には対応したエコキュートの機種も発売されています。井戸水を使用しているご家庭の方はそちらを購入してください。
また、お風呂で使用する入浴剤もエコキュートの配管やタンクを劣化させる原因です。入浴剤を使用する際は注意してください。各メーカー説明書にも記載されていますのでしっかり読んでください。
その他の注意点は?
お湯が濁るようなとろみのあるタイプのものや、硫黄、酸、アルカリ、塩分を含むタイプものは使えないことになっています。その他にも、
①旅行などで長期間使用しない場合は、エコキュートの電源を切る。1ヶ月以上使用しない時は、貯湯タンクのお湯もすべて排水する。
②ヒートポンプの周辺には障害物を置かない。エアコンの室外機と同様、空気の出入りを妨げないように設置することを注意する。
なども上げられます。
気になるメンテナンス方法は?
最後に定期的なメンテナンスです。少し手間がかかりますが定期的にメンテナンスすることで、ぐっとエコキュートの寿命はのびます。エコキュートの貯湯タンクの水を年に2、3回は全部抜いて、水を入れ替えてください。
タンクはステンレス製なので雑菌が繁殖する心配はあまりありませんが、長い期間使用し続けると不純物がタンクの底に沈殿して、お風呂のお湯の中にゴミや湯ドロとして排出されてしまいます。
また水抜きの際に電気系の点検、タンク下の清掃も行ってください。どこを点検したらいいかは、機種によってスイッチの場所が異なりますので、説明書の点検のページを見ると絵つきで詳しく載っています。そちらを読んで確認してください。
そもそもエコキュートってなに?
引用元:株式会社コロナ
さらにもう少し詳しくエコキュートについてご説明します。エコキュートは「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」というヒートポンプ式の給湯器です。普通の電気給湯器と何がちがうのでしょうか。
電気給湯器は、電気の力でヒーターを温めてお湯を沸かします。それに比べて、エコキュートは、直接電気エネルギーを熱に変換するのではなく、大気中にある太陽光で暖まった空気を室外機から取り込みます。
この太陽で暖められた自然エネルギーも動力として使います。エコキュートで使う電気は、この外の空気をヒートポンプへ汲み上げるためのエネルギーとして使われます。
そのため、使われた電気量よりも大きな熱エネルギーを作り出すことができる省エネ技術です。電気給湯器に比べると約3分の1の消費電力でお湯を沸かすことができるのです。
エコキュートが電気給湯器より劣っている点をあげるとすると、その設備の大きさです。外気を取り込むために室外機が必要になり、その分スペースが余分に必要になります。
エコキュートには、その他にもいろいろなオプションをつけることができます。床暖房機能やミストサウナ機能など生活をより快適にするための設備を追加して使用できます。
電気代を安くするには夜間に使用すること?
そしてエコキュートがおすすめな一番の理由は、電気代が安くなる夜間電力を効率的に利用してお湯を作るれるというメリットです。電気会社にもよりますが、たいていが日中よりも夜間に使用する電気料金の方が半額くらい安く設定されています。
電気の安くなる夜間にお湯を作り置きすることで、いつ使っても安い電気代で作ったお湯を利用することができるのです。一日の利用湯量は何人家族か、また寒い季節かどうかによっても変動します。定期的にエコキュートの設定を見直せば、さらにお得にお湯を利用することができます。
エコキュートの導入費・ランニングコスト
では、実際エコキュートを導入した場合と電気給湯器を導入した場合ではどれくらいの差が出るでしょうか。
エコキュートの購入金額は約68万円です。1ヶ月に使用する電気代は約1,000円です。それに対して電気給湯器の購入金額は約35万円、1カ月の使用する電気代は約3,000円です。どちらも寿命はあまり変わらず10年~15年とされていますので15年使用したと想定して計算してみましょう。
電気給湯器を15年使用した場合
350,000円+(3,000円×12ヶ月)×15年)=890,000円
エコキュートを15年使用した場合
680,000円+(1,000円×12ヶ月)×15年)=860,000円
具体的に比べてみると、エコキュートの方が約3万円お得になることが分かります。また、ここには含みませんでしたが、もし故障した際にかかる修理代や工事費用も、電気給湯器の方がエコキュートより高くなります。
エコキュートは、初期投資は高くなりますがランニングコストが安いため長く使えば使うほどお得になります。
ガス給湯器はどうなの?
またガス給湯器と比べても、ガス給湯器は1ヶ月のガス代が約5,000円かかります。もしご家庭のガスがプロパンガスだとさらに高くなります。
ガス給湯器は購入金額はエコキュートより安いですが、ランニングコストがあまりよくありません。また寿命も5年くらいガス給湯器の方が短いため、長い目で見るとエコキュートが環境にもよく、経済的だということが分かると思います。
定期的なメンテナンスをしお得なエコキュートを最大限に活用
家で使う光熱費のうち3分の1を占めるのが給湯にかかる費用です。意外と家庭内でお湯が使われているのです。冬は特にお湯をたくさん使うので、家計にとって大きな負担になります。給湯器を何を選ぶかでも光熱費にずいぶん差がある事をおわかりいただけたかと思います。
2016年に電力自由化がスタートして、いよいよ家庭で使うエネルギーも個人で選択する時代になってきました。現在では小売電力事業者数は390社以上です。
各社いろんな料金プランを出しており、自分の生活スタイルに合うものを選ぶことができます。携帯電話の料金プランを比較して契約できるようになり、光熱費も自分の生活に合ったものを選べるようになりました。
そして、電力自由化をきっかけに家のエネルギーを見直す方も増えています。ガスをやめてオール電化を導入したり、広い屋上スペースを利用して太陽光発電をはじめたり……。
近年、省エネでランニングコストを抑えられる設備を整えるご家庭はどんどん増えています。コスパのいい設備は一方で初期投資費用が高くなる傾向があります。
少しでも長く利用できるようにしっかりメンテナンスをすることが重要になります。定期的に点検作業を行うことで大きな光熱費の節約と省エネにつながるので今のうちに導入を検討しておくことをおすすめします。